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ABM(アカウントベースドマーケティング)とは(その2)

ABM(アカウントベースドマーケティング)のスタート、自社で既に得ている情報の整理と名寄せ問題

ABM(アカウントベースドマーケティング)について、更に具体的に内容について掘り下げてご紹介いたします。

事業活動を行っている企業であればどんな形式であれ、必ず顧客リストは保持しています。
創業当初の最初から、会社全体で統一したリスト項目で作成保持できていれば問題は無いのですが、
(細かい話だと、企業名はフルネームなのか、株式会社は省略して良いのか、住所は都道府県で切るのか、TEL番号はハイフンをつけるのかどうか等々)多くの企業で伺いましたのが、記載項目の統一されていない顧客リストが社内で点在しているケース、「企業全体」「部署毎」「担当者毎」「プロジェクト毎」「キャンペーン毎」等々、気づくと細分化されてしまっているのが、現実には起こっているのではないでしょうか。

 更に具体的にお話しますと、
「▲▲株式会社」、「▲▲(株)」等と、入力規則のルール化がリスト化の初期段階より整備していなければ、対象が同一かどうかをデータベース側では判別できない為、
ABM(アカウントベースドマーケティング)としてリードリストを整備する際に、「▲▲株式会社」=「▲▲(株)」が同一記号なのかどうかが判別できず、ABM(アカウントベースドマーケティング)取り掛かり時点でリードリストの再整備に多大な尽力と工数を必要とします。
この点の解消については、後工程を視野に入れる、ABM(アカウントベースドマーケティング)に取り組む際には初期段階でしっかりと時間を費やすべきと考えます。

ABM(アカウントベースドマーケティング)における名寄せ問題の重要性

更にリスト作成時の名寄せの際に問題となるのが、「主キー」を何に置くのか?ということです。
仮にメールアドレスを主キーにした場合でも、リードリスト候補として抽出した取得先の担当者(リード)リスト一覧を並べてみた際、その対象企業自体がメールアドレス、ドメインを過去何年かの内に変更していて、同一企業であっても取得しているリストの企業部分が最新のものではなかった、というケースもあります。

例えば、古くから取引関係先であるAさんに対し、営業担当者間ではAさんの最新登録メールアドレスを把握して連絡を取り合っていたが、会社全体としての登録は実はAさんの登録情報が更新されておらず、旧メールアドレスのまま記録されていたが為に、企業として発信してAさんにお届けしたい内容が、実は何年間もお届けできていなかった、なんて笑えない話もあるようです。

前述した話と重なりますが、ABM(アカウントベースドマーケティング)をスタートさせるには、リストに対する全社間での項目の統一、各部署間で保持しているリストのリフレッシュから始めるべきだと考えます。ここを怠ると、登山に例えれば、「出発点からはぐれた仲間は、気づくと全く別の山に登っていた」というとんでもない事態に陥ります。

更に前述した内容を解消し、ここまで整備を重ねたとしても、社内で点在していたリストを重ねてみると、「対象企業内で同姓同名なので、同一人物であると想定されるが、その対象が複数部署に異動された経歴で、且つ複数の名刺を複数の部署で頂いている場合、しっかりと時系列情報をリストに重ねて保持していなければ、最新有効な登録リストとして使えるのはどれか判断判別ができない」といった様な個別には非常に悩ましい問題が残っていると想定され、ABMを進める上では、一刻も早く解消に向けて手を打つ必要があります。

ABM(アカウントベースドマーケティング)における、「自社」を軸とした整理

①自社のサービス・商品が得意とし、かつ販売可能な領域のカテゴリーを抽出する。

まず「自社」を主体にしてターゲットカテゴリーを抽出することが重要です。アカウント視点での整理工程も必要ですが、その前に後工程としての「リードの詳細リスト化」を想定した場合、例えリサーチデータで業界No1、2の企業が候補に挙がったとしても、その企業に提案できるサービスメニューを持っていない場合は、ターゲット企業にすべきではない、といえます。それはABM(アカウントベースドマーケティング)の概念の根底に「自社と既に関係があるのか?」があり、選択と集中を重ねる事が、効率よく営業アプローチを重ねる事に他ならないからです。


ABM(アカウントベースドマーケティング)における、「ターゲット企業」を軸とした整理

②カテゴリー内におけるターゲット企業(アカウント)抽出とリードの見極め

ターゲット企業選定の視点に立って、その重要性について更に紹介します。そもそもターゲット企業がターゲットにする価値があるのかどうか? 以下、営業関係の話題の際によく聞くお話ですが、「アウトバウンドセールスにより営業先として新たに開拓できたお客様。過去に一度受注履歴もあり、いつも新しい提案を聞いてくれる非常に良い人」のところに足繁く通った、しかし受注翌年の1年間は何も受注が出なかった。。。そうした事が発生する原因は、やはりABM(アカウントベースドマーケティング)に沿った考え方を導入できていない、場当たり的な営業活動から発生していると考えられます。

こうした事象の発生原因としては、一例としては
・相手先担当者の役割が変わり、予算を獲得することができない、必要としないケース
・新しい話に興味はあるが、担当者の情報収集の一つでしかなく、先方企業内で情報が拡散されない
・担当者自体の問題ではなく、企業全体として、こちらから提案する内容に予算を振り分けることができないケース(提案内容のアンマッチ)
等が考えられますが、ABM(アカウントベースドマーケティング)の概念を取り入れることができていれば、少しでも事前にこうした空振り営業を重ねることは避けられていたかもしれません。

ABM(アカウントベースドマーケティング)がもたらす役割

これまで多くの企業様より営業体制面、マーケティングと営業現場との連携についてお話を伺って参りました。また弊社でもABM(アカウントベースドマーケティング)の導入を進めております。そうした中一つ一つのステップ毎に、これまで明らかにならなかった、組織的な問題点、また営業とマーケティング担当者個別に抱えていた詳細な現場情報等が現れてきました。この詳細な、これまで情報を保持していた担当に蓄積されていた個別情報を可視化、また共有化していくことが、結果としてアカウント別の売上最大化が実現していくのではないでしょうか。


December 15 , 2020
I.Yamada

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