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DIGITAL BUSINESS EYE'S

コロナ禍での人との繋がり方と自分らしさ(SNSのFoMOとJoMO)

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)

2月14日(日)、
アメリカの製薬大手、ファイザーが開発したCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)ワクチンが
国内で初めてのワクチンとして承認され、報道でも大きく取り上げられました。

来週から同意を得た医療従事者1~2万人への先行接種が始まり、一定の接種順位を決めて
原則として、住民票所在地の市町村(住所地)の医療機関や接種会場で
「65歳以上の高齢者」
「基礎疾患を有する方や高齢者施設等で従事されている方」
「それ以外の方」・・・ と、接種が行われていきます。

※新型コロナウイルス感染症のワクチンの接種は、強制ではありません。

[参考サイト]
[接種についてのお知らせ]

人のつながりが難しい状況

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミック(世界的大流行)により
2020年4月7日から5月25日まで緊急事態宣言が出されたり、
(2021年1月8日(金)から第2回目が11都府県に対し発出)
外出自粛要請をされたりして、私たちの暮らしは一変しています。


Sansan株式会社が、20代〜50代のビジネスパーソンを対象に
「今年のビジネスの出会い」に関する調査を実施し、2020年11月に発表しました。

「初対面の社外の人と出会う機会が減った」と回答した人が64.6%にのぼり
オンライン上の出会いで困ったこととして、
「相手の特徴や空気感が分からず、記憶に残りづらかった」と回答した人が50.9%
「ビジネスにおける新しい出会いや、人とのつながりを、以前よりも大切に感じるようになった」と回答した人が73.0%にのぼりました。

コロナ禍で、今までの物理的な人とのつながりが難しくなり、戸惑っている社会状況が浮き彫りになっています。


[参考サイト]
Sansan株式会社「今年のビジネスの出会い」に関する調査を実施

コロナ禍で、大切な人とのつながり

それまで「普通」に出かけていた場所へ出向かなくなり、
「普通」に会えていた人とも会わなくなり・・・
テレワークやソーシャルディスタンシング等
少しずつ「人と直接会わない・接しない」と言う、
新たなライフスタイルが定着していきました。


WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は、2020年3月26日にTwitterで
“Physical distance doesn’t mean social distance”
(人との物理的な距離を保つことは、心を通わせる交流を妨げるものではない)
と投稿しています。

ソーシャルディスタンシング
(WHOではフィジカルディスタンスと言う言葉を推奨されています)
と言うと、
家にこもって誰とも会わず、人との交流を断つ・・・と想像してしまいますが
実はそうでは無い と、気づかされる貴重な言葉だと思います。

[参考サイト]
World Health Organization (WHO)のTwitter

台頭する様々なツール

会えなくなった家族や友人とのコミュニケーションや仕事の打ち合わせには
TeamsやZoom等のウェブ会議が急速に浸透していき、
人と人とをつなぐツールとして、様々なSNSが頻繁に使用されるようになりました。

ウェブ会議では、会話はもちろんのこと、
「オンライン飲み会」「オンラインレッスン」「オンライン銭湯」など、
様々な工夫を凝らしたつながりも展開されて来ています。


代表的なSNSのユーザー数は次の通りです。
LINE 8,600万人(2020年9月時点)
Twitter 4,500万人(2017年10月時点)
Instagram 3,300万人(2019年3月時点)
Facebook 2,600万人 (2019年7月時点)
Clubhouse(※1) 50万人(2021年2月時点)
※1 日本では2021年1月23日よりβ版の運用開始

この数を見ただけでも、多くの人が非接触のコミュニケーションツールとして
SNSを利用していることがうかがえます。


今年に入ってから台頭してきた「Clubhouse」は、
まだまだ数は少ないですが
運用開始からの増加や話題性には目を見張るものがあります。

Clubhouseは「音声SNS」と呼ばれるように、コミュニケーション手段が音声に特化されて
ログが残る他のSNSに比べ、録音の出来ないラジオのようなもので
「聞き逃すと二度と聞けない」と言う「今だけ感」が有ります。

モデレーター(しゃべる側)と、リスナー(聞く側)の敷居も低く
リスナーが希望して、モデレーターが承認すれば、
リスナーもすぐにモデレーターになれたり、
コロナ禍で機会が減ってしまった「人と会う」「人と話す」事が
ビデオ会議のように「こちら側」の様子が見えない分、
気楽に行う事が出来たりするのも魅力の1つです。

それだけに、モデレーターとリスナーの距離も近く、
今の段階では有名人が参加しているroomを気軽に聞けたり
メディアでは聞けない話が聞けるなど、
自粛生活で難しくなっているセレンディピティ、思いがけない偶然に遭遇するのも
Clubhouseの大きな特徴であり、その魅力ゆえに非常に中毒性の高さも指摘されています。

[参考サイト]
オンライン銭湯 Twitter(@enyahonami)
Clubhouse

「承認欲求」と「SNS疲れ」

ではなぜ人はSNSに依存してしまうのでしょうか?
恐らく、「誰かから認められたい」と言う承認欲求を手っ取り早く満たすことが出来るからではないでしょうか?
ここでは「承認欲求」について、考えてみたいと思います。


アメリカ合衆国の心理学者、アブラハム・マズローが理論化した
「マズローの欲求5段階説」と言うのが有ります。

第5段階: 自己実現の欲求 (Self-actualization)
第4段階: 承認(尊重)の欲求 (Esteem)
第3段階: 社会的欲求 / 所属と愛の欲求 (Social needs / Love and belonging)
第2段階: 安全の欲求 (Safety needs)
第1段階: 生理的欲求 (Physiological needs)
人間の欲求は第1段階から順に低次から高次へと満たされていき、
第1段階と第2段階は物理的な欲求、
3以降は精神的な欲求です。
人間は、低次元の欲求が満たされると、より高次元の欲求を満たしたくなるというように成長を求めるものと考えました。

SNSでは「他者と関わりたい」「集団に属したい」と言う
社会的欲求を満たす事が出来る、数々の機能が備わっています。
他者とつながる事で、仲間が欲しい、社会に関わりたいという集団に属したいと言う、
第3段階の社会的欲求(所属と愛の欲求)が満たされ、
「いいね」ボタンや「シェア」ボタンを押されることで、「他人から認められたい」「尊敬されたい」と言う、
第4段階の承認欲求が満たされます。

その反面、他人と自分を比べて落ち込んでしまったり、
実際の自分より、よりよく見せようと背伸びをし過ぎたりして、
これが満たされないと「劣等感」とか「無力感」を持ちやすくなります。

コロナ禍によって、SNSでの人間関係が濃くなり、否が応でも
他人の投稿を見る機会が増えた弊害でしょうか、
「いいね」や「フォロー」の数に一喜一憂したりして、「SNS疲れ」「SNS離れ」と言うワードを見かけるようになりました。

SNSの弊害、見逃すのが怖い「FoMO」と、見逃す喜びの「JoMO」

最近目にする言葉「FoMO」ですが、
SNSベンチャーキャピタリストのパトリック・J・マクギニス氏が提唱した
「FoMO(fear of missing out:フォーモ=取り残されることへの恐れ)」
の略称で、SNSなどで
「大事な投稿を見逃してしまうのではないか」
「自分だけが取れ残されるのではないか」
と不安になり、恐れを抱き、その結果SNSをこまめにチェックしてしまう事を指します。
その結果、ネット依存症が引き起こされ、精神的健康状態の悪化により
悲観的な気分や憂鬱になるなどの影響を及ぼすと言われています。


一方、2015年初めにアメリカで
Christina Crook著『The Joy of Missing Out: Finding Balance in a Wired World』
が出版されました。
このタイトルは
「JoMO(Joy Of Missing Out:ジョーモ=見逃す喜び)」と言う「FoMO」の反動で生まれた言葉です。

この中ではSNSの世界から離れ、情報があふれかえるインターネットと距離を置き、
周りの情報発信に一喜一憂せず、今この瞬間に集中し自分の本当にやりたい事に時間を費やす喜びを味わう
と言う提案がされています。
SNSに振り回されないためにも「他人と比較しない」「自分軸で生きる」
という事を意識する事が大切です。

SNSを利用していて心が重くなったり、楽しくなくなったら
自分でルールを決めてネットから離れて 
JoMO(常に最新情報に接する緊張感や取り残される不安から解放)するのも良いですね。

[参考サイト]
The Joy of Missing Out: Finding Balance in a Wired World (English Edition)

自分自身の人生を生き抜くために

このような現代人の心に、染み入るような解決方法を投げかけてくれるのが
アドラー心理学の言葉の数々です。

フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称される、アルフレッド・アドラー。
20世紀初頭に活躍したオーストリアの精神科医で、
スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』や
デール・カーネギー『人を動かす』など、
多くの自己啓発書にも影響を与えたといわれています。

アルフレッド・アドラーは日本ではあまり馴染みが有りませんでしたが、
2013年にアドラー心理学の第一人者である岸見一郎氏と
ライターの古賀史健氏の共著「嫌われる勇気」が発行され
200万部を超える大ヒットとなり、一躍有名になりました。

アドラー心理学の根底に流れる概念は
「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」
と言うものです。

ここで、アドラー心理学の言葉の数々をご紹介します

「他人からの賞賛や
感謝など求める必要はない。

自分は世の中に貢献している
という自己満足で十分である。」

「人間は自分の人生を描く画家である。
あなたを作ったのはあなた。
これからの人生を決めるのもあなた。」

「世界はシンプルで、人生は思い通り。
人生を困難にしているのは「あなた自身」である。」

もちろん「承認欲求」は、悪い面ばかりではありません。
時にはモチベーションとなったり、自分への自信となる場合もあります。
大切なのは、「自分の人生」は誰が主役なのか?誰がコントロールするものなのか?
と、自身に問いかけながら時代がどう変遷しようと、自分を見失わない事ではないでしょうか?

最後に少し長くなりますが、
自分自身を大切に思える言葉として、
2005年に米スタンフォード大学の卒業式で行った
スティーブ・ジョブズのスピーチ(一部)を紹介します。

Your time is limited, so don't waste it living someone else's life.
Don't be trapped by dogma ―which is living with the results of other people's thinking.

Don't let the noise of others' opinions drown out your own inner voice.
And most important, have the courage to follow your heart and intuition.
They somehow already know what you truly want to become.
Everything else is secondary.
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あなた方の時間は限られています。
だから、本意でない人生を生きて時間を無駄にしないでください。
ドグマにとらわれてはいけない。
それは他人の考えに従って生きることと同じです。

他人の考えに溺れるあまり、あなた方の内なる声がかき消されないように。
そして何より大事なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。
あなた方の心や直感は、自分が本当は何をしたいのかもう知っているはず。
ほかのことは二の次で構わないのです。
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ビジネスエージェントでは、
クライアントのニーズにこたえつつ、
時代を超え、自分自身の人生を生き抜く
サービスの提供に努めています。

[参考サイト]
嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え
2013年12月12日初版発行、発行元ダイヤモンド社

[参考サイト]
'You've got to find what you love,' Jobs says
スタンフォード大学の公式ウェブサイトの記事


February 16 , 2021
M.Sekimoto


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