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コロナ禍だからこそ必要!? センスメイキング理論

コロナ禍の今こそ必要なこと = センスメイキング

今、東京都を中心にコロナ感染者数がまた増え始めていますね。

7月20日の新規感染者は419人で、医療体制に影響を及ぼしかねない状況になってきました。
コロナ禍で経営環境も大きく様変わりしてしています。比較的好調といわれるインターネット関係も経営数字含めじわりじわりと影響を受け始めています。
労働環境も大きく変わりました。

例えば、営業は対面形式中心でしたが、WEB会議でのコミュニケーションが増え、現状弊社の面談も90%以上がWEBで行われるようになっています。
出社率も弊社で見ると3、4月はほぼ0%、5月、6月は20%程度でした。
おそらくほとんどのビジネスパーソンが経験したことのない今回のコロナ禍、こうした過去の延長線上にない未曽有の状況で経営や日々のビジネス行動を行っていくためのヒントはないのか?その答えの一つが「センスメイキング理論」ではないかと考えます。

「センスメイキング理論」とは

センスメイキング理論とは、組織のメンバーやステークホルダーが、事象の意味について納得し、それを集約させるプロセスをとらえる理論の総称です。
個人で見ると、Self-fulfilling(自己成就)という認知バイアス、例えば「今日は~するとラッキーなことがあるでしょう。」といった占いに沿って行動したら実際にそうなった。(成就してしまった)という現象に近く、その組織版と思っていただければと思います。 

遭難を免れた隊員たち (有名なセンスメイキング理論の逸話)

センスメイキング理論の逸話(遭難を免れた隊員達)
センスメイキングな逸話を1つご紹介いたします。

ハンガリー軍の偵察部隊が 【 アルプス山脈 】 の雪山で、猛吹雪に見舞われ遭難しました。彼らは吹雪の中でなす術なく、テントの中で死の恐怖におののいていました。その時偶然にも、隊員の1人がポケットから地図を見つけました。彼らは地図を見て落ち着きを取り戻し、「これで帰れるはずだ」と下山を決意します。彼らはテントを飛び出し、猛吹雪の中、地図を手におおまかな方向を見極めながら進みました。そしてついに、無事に雪山を下りることに成功したのです。
しかし、戻ってきた隊員が握りしめていた地図を取り上げた上官は、驚きます。彼らの見ていた地図は 【 アルプス山脈 】 ではなく、【 ピレネー山脈 】 の地図だったのです。

センスメイキングのプロセス

センスメイキングのプロセス
驚きの結末だった軍偵察隊の雪山脱出劇ですが、どうしてこのようなことが起きるのでしょうか。

研究者によりやや解釈に違いはあるもののおおよそセンスメイキングのプロセスは、以下の3つに分けられます。

① 環境の感知 (Scanning)
  以下3つの環境下で特にセンスメイキングが重要になると考えられています。
   a) 危機的な状況: 市場の大幅な低迷、ライバル企業の攻勢、急速な技術変化、天変地異 など
   b) アイデンティティへの脅威: 事業の強みが陳腐化し、「会社をどうしていけばいいのか」「何会社か」わからない状況。
   c) 意図的な変化: 新事業の創造やイノベーション投資
② 解釈を揃える (Interpretation)
 環境に対しての解釈が多義的になったとき、その解釈を揃える必要がある。そこで必要なのが、ストーリーを語り、メンバーやステークホルダーを腹落ちさせること。
③ 行動・行為 (Enactment)
 おかれている環境に行動することで働きかける。大事なのは、不測の事態という環境におかれたとき必死に行動し、
特定の方向に進むこと。進む中で上記①~③を繰り返していくこと。

起業家であれば①の1つや2つ経験済み、何をいまさらとおしかりを受けそうですが知ってやるのとただ闇雲に、では意味が違います。
危機的な状況にあれば時間はより大切な資源となります。その時間的ロスをなるべく少なくして進むためには①、②、③を素早くを繰り返しながら軌道修正して進むしか方法はないのです。

創業から2年目、弊社も大きな失敗でまさに崖っぷちの状況を経験しました。そこからどうやって脱したのか。
その経験が、①Fit ②Light ③Sportyという行動規範につながりました。
そのこころは、①環境に合わせる→②まず始める→③2度と己の心に負けないで事を行う です。


「センスメイキング理論」で一人一人はどう行動するのか

さてこれまで、組織の話をしましたが、人間一人一人も同じだと思ってます。

人間の考えや行動を決めるもの、その一つに「遺伝子」があると言われています。
「遺伝子」にはその1つ1つに役割があり、「がんを抑制する遺伝子」「肥満を抑制する遺伝子」など様々な遺伝子がありますが、その98%が使われていないオフ状態で、たった2%だけがオン状態です。
遺伝子オンの状態にするには、例えば、運動する→脳の神経細胞を成長させる遺伝子のスイッチがオン→記憶力アップする!?
などそれぞれの遺伝子のスイッチオンに対して有効な方法が存在します。
これは未知の環境である宇宙でも同じで、ある宇宙ステーション従事者の遺伝子9000個ほどにオンオフの変化が現れたという事例が報告されています。

人体は、全く未知の環境である宇宙にも適応できるように遺伝子のスイッチをオンオフして対応しようとしています。
コロナ禍は、こうした未知の環境に対応するために必死に行動することで私たちに新しいスイッチオンオフを求めているのかもしれません。

もしかしたら皆さんの持っている地図は【 ピレネー山脈 】かもしれません。しかし、今の環境に必死に合わせることで雪山の隊員たちが無事下山したように、一人一人が新しい環境に合わせるように努力することで、新しい環境のスイッチをオンし、必要なくなったスイッチをオフできれば会社も個人も新たな「成長」ができる、そんな気がしています。


July 21 , 2020
S.Kurasawa

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