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IoTを知る(3) IoTプラットフォームについて

IoTプラットフォームとは

IoTの技術について第3回では、IoTプラットフォームについて解説していきます。

IoTプラットフォームは、IoT要素であるセンサー、ネットワーク、そしてアプリケーションをクラウド上で結びつけるための土台となるものです。

IoTを家庭用のゲーム機に例えると、IoTプラットフォームはいわばゲーム機本体となり、センサーはプレイヤーが操作するためのコントローラー、ネットワークは本体とコントローラーを接続するための通信規格、そしてアプリケーションはゲームソフト、という風に置き換えることができます。

つまり、ユーザーが体感する操作性や目に見える機能は、主にセンサーやアプリケーションですが、それらの機能を実現するには、IoTプラットフォームが必要ということになります。

IoTプラットフォームという言葉自体は、広く定義付けされ使用されることが多く、上記のアプリケーションまで含まれた状態でIoTプラットフォームサービスとして提供されているものもありますが、ここではアプリケーションを除くクラウドサービスのことを前提に解説していきます。

IoTプラットフォームの開発が今後のIoTサービスの覇権を握る

IoTプラットフォームの開発は、すでに多くのベンダーが開発・提供しており、国や企業をあげて取り組まれています。

その開発競争は激しく、今後のIoT産業の覇権は、このIoTプラットフォームの開発にかかっているといっても過言ではありません。

IoTプラットフォームの発展、それは街の発展に似ています。
多くの交通基盤が存在し、そこにニーズが存在すれば、人が集まり、そのエリアは住居・産業・サービスといった発展を成し、街を形成していきます。
街が栄えてくると、更に大きなビジネス・サービスが生まれ、そこにまた人が集うことになり、やがて大きな都市へと発展し、GAFAのような巨大なプラットフォームへと進化していきます。

第2のGAFAとして、IoTプラットフォームの覇者となるべく、各ベンダーは苛烈な競争を繰り広げているのです。

IoTプラットフォームの役割

IoTプラットフォームは各ベンダーから様々なサービスが提供されており、その用途も千差万別で、業種に特化したものから、規模感の大小など、様々な用途に最適化されたものが提供されていますが、IoTプラットフォームが果たす基本的な機能は大きく3の機能で構成されています。

1.デバイスのマネジメント機能とセキュリティ対応
2.センサーから集められた情報の蓄積
3.蓄積した情報を分析・ソフトウェアの開発環境

IoTでは、センサーやネットワーク、アプリケーションはいわば機能を提供するものであり、IoTを実現するために不可欠な要素ですが、これらはあるプラットフォーム上で動くことを設計されることになります。

例えば、社内の業務改善にIoTを導入する場合、秘匿性の高いデータが格納されている端末をインターネットで接続するリスクは高く、且つ汎用的な接続を行うメリットが少ないため、専用線を用いた接続が最適なケースが考えられます。
そうした場合、汎用的なインターネットベースのプラットフォームより、専用線接続をベースにしたプラットフォームが最適だと言えるでしょう。

また逆に、マーケットのデータを取得したい場合、自社だけでなく他社のデータも活用できるよう、取得されたデータは集中管理され、ビッグデータとしてサービスを共有できるプラットフォームが必要なケースも考えられます。
このようなケースの場合、1社のIoTベンダーでは限界があるため、複数のベンダーが協業してプラットフォーム活用することで、より大きなメリットを享受することが出来るでしょう。

このように、使用用途によって最適なプラットフォームも異なり、多種多様なプラットフォームが生まれる要因にもなっています。

1.デバイスのマネジメント機能とセキュリティ対応

IoTプラットフォームの主要機能として、デバイスマネジメントが挙げられます。
時には、数万~数十万というデバイスからの同時接続が行われるIoTでは、デバイスの接続マネジメントは非常に重要な機能となります。

こうした複雑で管理が難しいデバイスマネジメントの機能を、IotプラットフォームではAPIやSDKを提供し、デバイスとプラットフォームの接続を総合的に管理をできるようになっています。

また、ネットワークを介しての通信を行うIoTでは、常に新しいセキュリティリスクを想定する必要があります。
認証技術や、データの暗号化など、ネットワーク上の新しい脅威に対しての対策はプラットフォーム側の技術に依存することで、自社のIoTサービス開発に注力できることも大きなメリットとなるでしょう。

このように、IoTプラットフォームでは、IoTを確実に安全に実現するためデバイスマネジメントとセキュリティ対策の機能が必要不可欠となります。

2.センサーから集められた情報の蓄積

IoTプラットフォームでは、日々センサーから送信される膨大なデータを受信し蓄積されており、データの収集能力として巨大な基盤が求められます。
クラウドは、このように膨大なデータを収集・蓄積することに長けており、多くのプラットフォームがクラウドベースで開発されているのも多くのデータを蓄積することを前提としているためです。

そうやって収集されたデータには、多くのニーズが含まれています。

日本ではまだまだIoTテクノロジーの中核が、センサーの機能やモノに機能を付加することのように思われがちですが、すでに欧米ではビッグデータをソフトウェアを使って活用し、どのようにユーザーに価値を提供するか、にシフトしています。

IoTの真価は、機能だけではなく、蓄積されたデータ生み出される新しいサービスによって、本来の価値が発揮できるのです。

3.蓄積した情報を分析・ソフトウェアの開発環境

プラットフォームでは、センサーから受信したデータや、蓄積されたデータをソフトウェアを使って分析し、

1) 分析したデータを元に、アウトプットとなるセンサーに操作情報を送信する
2) 分析したデータを元に、新しいサービスの提供や業務改善を行う

といった機能を実行します。
また昨今では、これらのデータ分析をAIが行うことで、全て自動化される仕組みも提供されています。

ソフトウェアの内容は、業種・サービス、分析内容によって様々です。

ここでは例えば、主要道路の信号切り替えをIoTとAIで最適化するとしましょう。

このIoTでは、主要道路の信号機近くに設置されたセンサーから、日々の交通量と周囲の状況に関するデータが送信され蓄積されていきます。

プラットフォームでは、蓄積されたデータを元に、日時や天候・気温、曜日、流通量、周囲でのイベントなど、様々なデータをAIが分析し、渋滞緩和のため、最適な時間で信号が切り替わるように、信号機にアプトプットされていくのです。

また、車や航空機のエンジンにIoTを組込み、日々の運用データを蓄積・解析することで、燃費効率の良いルートを見つけたり、部品の消耗具合を人間の手を介さずに確認できたりすることも可能になるでしょう。

このように、データには大きなニーズがあり、ソフトウェアによって分析することは、IoTが産業に新しい価値やサービスを提供することが可能になるのです。

日本のIoTサービス

日本のベンダー企業は他国に比べ、取り組みが遅かったこともありますが、現在では多くの国産IoTプラットフォームが誕生しています。

しかしながら、自社で完結するタイプのプラットフォームが多く、ベンダー間を共有した開発などは皆無に等しい状態です。
このことは、企業がIoTサービスを導入する際に、欲しい機能がなければ自社で開発する必要がある、ということを物語っています。

囲い込みという企業文化や、モノづくりが得意な日本、のままでは、今後の新しい産業モデルに後れをとっていくことになるでしょう。

コロナで生活様式が変わったように、日本の産業モデルも大きな転換期を迎えています。


September 29 , 2020
T.Shinoda

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