DIGITAL BUSINESS EYE'S
IoTを知る(1) IoTの進化とセンサーについて
IoTとは
IoTとは「Internet of Things」の略で、日本語では「モノのインターネット」と呼ばれており、これまでパソコンやサーバなど、コンピューター同士を接続することが主だったインターネットに、コンピューター以外のモノをインターネット経由で通信することを意味しています。
PC、スマートフォン、プリンタといった、これまでインターネットに接続されていたIT機器以外に、テレビや冷蔵庫、エアコンといった家電などがデジタル家電として進化し、腕時計がAppleWacthのようにスマートフォンと連携したウェアラブルとしての機能を携えるなど、これまでアナログだったモノがネットワークを介して新たな技術やサービスを提供できるようになる技術をIoTと呼びます。
今後も、自動車の自動運転をはじめ、身の回りのあらゆるモノがネットワークに接続することで、今までにない新しいサービスや価値を提供することが実現でき、人々の生活をより便利で豊かにすることが期待されています。
第1回の今回は、IoTの進化と技術要素の中から、まずセンサーについて紹介します。
PC、スマートフォン、プリンタといった、これまでインターネットに接続されていたIT機器以外に、テレビや冷蔵庫、エアコンといった家電などがデジタル家電として進化し、腕時計がAppleWacthのようにスマートフォンと連携したウェアラブルとしての機能を携えるなど、これまでアナログだったモノがネットワークを介して新たな技術やサービスを提供できるようになる技術をIoTと呼びます。
今後も、自動車の自動運転をはじめ、身の回りのあらゆるモノがネットワークに接続することで、今までにない新しいサービスや価値を提供することが実現でき、人々の生活をより便利で豊かにすることが期待されています。
第1回の今回は、IoTの進化と技術要素の中から、まずセンサーについて紹介します。
IoTの進化
IoTという言葉が一般的になり始めた2010年頃、当初はAmazon社が提供した、商品を購入したいときに専用のボタンを押すだけで注文が完了し商品が届くという、「Amazon Dash Button」などが代表的に紹介されていました。
また、デパートや百貨店などで、トイレの空き具合が確認できるIoTなど、簡単なONとOFFの情報でサービスを提供するものが主流でした。
現在では、AppleWacthに代表されるウェアラブルでは心拍数などの身体情報を計測できたり、バスの運行状況を位置情報を使用して案内するスマートバス停、また農業の分野でも、農地に取り付けたセンサーで日射量や土壌の状況をもとに水や肥料の量を自動で調整し与えるなど、業種を問わずサービスの実用化が進んでいます。
これには、IoTの主機能であるセンサー部品のコストダウン化が進み、また機器のサイズダウンや軽量化が実現されたことで、IoT導入へのハードルが下がったこと、またスマートフォンの普及により、スマートフォンを起点とした仕組み作りが構築できるようになったことが大きく貢献しています。
今後、様々な分野で効果が期待されるIoTですが、現時点では広く一般的なサービスというより、特定の社内やネットワークの中で活用できる仕組みが多く、これには今後の課題である、ネットワークセキュリティの問題や法整備などの環境を整えていくことが必要となってきます。
また、デパートや百貨店などで、トイレの空き具合が確認できるIoTなど、簡単なONとOFFの情報でサービスを提供するものが主流でした。
現在では、AppleWacthに代表されるウェアラブルでは心拍数などの身体情報を計測できたり、バスの運行状況を位置情報を使用して案内するスマートバス停、また農業の分野でも、農地に取り付けたセンサーで日射量や土壌の状況をもとに水や肥料の量を自動で調整し与えるなど、業種を問わずサービスの実用化が進んでいます。
これには、IoTの主機能であるセンサー部品のコストダウン化が進み、また機器のサイズダウンや軽量化が実現されたことで、IoT導入へのハードルが下がったこと、またスマートフォンの普及により、スマートフォンを起点とした仕組み作りが構築できるようになったことが大きく貢献しています。
今後、様々な分野で効果が期待されるIoTですが、現時点では広く一般的なサービスというより、特定の社内やネットワークの中で活用できる仕組みが多く、これには今後の課題である、ネットワークセキュリティの問題や法整備などの環境を整えていくことが必要となってきます。
IoT技術の要素
IoTの基本的な構造は、センサーで読み取り、「データを送信する」機能と「データを受信する」という、非常にシンプルなものです。
ここに送受信されたデータをビッグデータとして活用する技術や、業種・業務に応じたアプリケーションで専門的な機能を付加することで、様々な価値や利便性を提供することが可能になり、IoTの可能性は大きく広がります。
このように大きな可能性を秘めたIoTですが、実際に実装を検討する上では、機能面だけでなく、ネットワーク通信を担う、通信方法と電源の確保方法の選定も非常に重要になってきます。
機能性、ビッグデータの活用、通信方法の選択、電源の確保方法など、IoTサービスの実現にはこれらの要素が全て必要となり、IoT技術構造を理解することは、最適なIoTシステムを構築をする上で非常に重要です。
ここに送受信されたデータをビッグデータとして活用する技術や、業種・業務に応じたアプリケーションで専門的な機能を付加することで、様々な価値や利便性を提供することが可能になり、IoTの可能性は大きく広がります。
このように大きな可能性を秘めたIoTですが、実際に実装を検討する上では、機能面だけでなく、ネットワーク通信を担う、通信方法と電源の確保方法の選定も非常に重要になってきます。
機能性、ビッグデータの活用、通信方法の選択、電源の確保方法など、IoTサービスの実現にはこれらの要素が全て必要となり、IoT技術構造を理解することは、最適なIoTシステムを構築をする上で非常に重要です。
IoTの階層
IoTで用いられる技術は、大きく以下の4つの層に分けられます。
■センサー(デバイス)
■ネットワーク
■IoTプラットフォーム
■アプリケーション
■センサー(デバイス)
■ネットワーク
■IoTプラットフォーム
■アプリケーション
IoTで用いられるセンサー技術について
IoT技術の中でセンサーは、インプットとアウトプットの役割を果たす、非常に重要な要素です。
さながら、人の目や手、あるいは感覚といったものを、センサーで実現させることで、これまで人が直接見る、もしくは何かしらの手を施すといったことが、自動で行えるようになり、且つそのセンサーは24時間365日稼働することができます。
センサーでは読み取る内容によって、大きく以下のように分けられます。
1.人、モノの有無や形状、位置などを読み取る
人やモノを検知するセンサーで、主に光電管を用いたセンサーを使用されます。
光を出力する部分と、光を受け取る部分から構成され、通過した物体を光が遮ることで検知します。
2.圧力・重量・ひずみを読み取る
圧力や重量などの検知には、主に金属線を用いたセンサーが使用されます。
金属線の形を変形させると電気抵抗が変化する特性を生かして、計測物のひずみや伸縮を計測することで検知します。
3.速度・加速度・回転数などを読み取る
MEMSという半導体の微細加工技術を生かして、XYZの3軸方向の加速度を計測するなどで検知します。
4.音声・振動・超音波などを読み取る
一般的な音の検出方法は、磁石とコイルを使用して拾った音をアンプで増大して電流として出力することで検知することができます。
5.温度・湿度を読み取る
温度の変化によって電気抵抗が変化する金属を組み合わせて温度を測定します。
温度によって膨張係数の異なる2つの金属を接合することで、温度の変化を物理的に検知することができます。
6.光・照度など読み取る
フォトダイオードを使った受光素子で、光を電荷の量に光電変化し、電気信号を生成することで検知することが出来ます。
その他にも、電流・電圧などを計測するセンサーや、匂いや味覚などの元となる物質を化学的に検知する仕組みや、顔や指紋などを元のデータを照合するセンサーなどが代表的なものとして挙げられます。
センサーの仕組み自体は、上記のようにその多くが以前からある技術を活用しています。
IoTではこれらの技術が低コストでサイズダウンされた状態での実装が可能になり、身の回りにあるモノに実装できるようになったことが大きな可能性を生み出しているのです。
さながら、人の目や手、あるいは感覚といったものを、センサーで実現させることで、これまで人が直接見る、もしくは何かしらの手を施すといったことが、自動で行えるようになり、且つそのセンサーは24時間365日稼働することができます。
センサーでは読み取る内容によって、大きく以下のように分けられます。
1.人、モノの有無や形状、位置などを読み取る
人やモノを検知するセンサーで、主に光電管を用いたセンサーを使用されます。
光を出力する部分と、光を受け取る部分から構成され、通過した物体を光が遮ることで検知します。
2.圧力・重量・ひずみを読み取る
圧力や重量などの検知には、主に金属線を用いたセンサーが使用されます。
金属線の形を変形させると電気抵抗が変化する特性を生かして、計測物のひずみや伸縮を計測することで検知します。
3.速度・加速度・回転数などを読み取る
MEMSという半導体の微細加工技術を生かして、XYZの3軸方向の加速度を計測するなどで検知します。
4.音声・振動・超音波などを読み取る
一般的な音の検出方法は、磁石とコイルを使用して拾った音をアンプで増大して電流として出力することで検知することができます。
5.温度・湿度を読み取る
温度の変化によって電気抵抗が変化する金属を組み合わせて温度を測定します。
温度によって膨張係数の異なる2つの金属を接合することで、温度の変化を物理的に検知することができます。
6.光・照度など読み取る
フォトダイオードを使った受光素子で、光を電荷の量に光電変化し、電気信号を生成することで検知することが出来ます。
その他にも、電流・電圧などを計測するセンサーや、匂いや味覚などの元となる物質を化学的に検知する仕組みや、顔や指紋などを元のデータを照合するセンサーなどが代表的なものとして挙げられます。
センサーの仕組み自体は、上記のようにその多くが以前からある技術を活用しています。
IoTではこれらの技術が低コストでサイズダウンされた状態での実装が可能になり、身の回りにあるモノに実装できるようになったことが大きな可能性を生み出しているのです。
センサーを使ったIoTの実用例
IoTの活用法としては、大きく3つの機能に分類することができます。
■モノに新しい機能を付加する
■観測データを元に作業を自動化する
■取得したデータを元に業務の効率化・サービスの改善を行う
■モノに新しい機能を付加する
■観測データを元に作業を自動化する
■取得したデータを元に業務の効率化・サービスの改善を行う
モノに新しい機能を付加する
IoTの機能として、まずイメージするのはこの機能ではないでしょうか。
IoT以前から、携帯電話にメール機能が付いたことにより通話以外でのコミュニケーションが実現できるようになったり、カメラ機能が付いたことで、いつでも撮影ができるようになるなど、電話が携帯できるようになったことで、新しい機能を付加する場が生まれ、提供できるサービスの幅が広がりました。
また、これらの機能がSNSの進化に繋がったことは容易に推測することができ、携帯電話の進化が新しいコミュニケーションサービスを生み出す要因にもなりました。
携帯電話とIoTの大きな違いは、携帯電話が元々電子機器・IT機器であった点に比べ、IoTではアナログのモノにも機能を追加することができる点です。
例えば、下着にセンサーが付いた場合を考えると、色々な使い道が考えられます。
まず、下着には常に肌身につけている、という商品の特徴があります。
この特徴を生かして、常に身体の情報を得ることが可能となります。
腕時計型のIoTよりも、より全身のデータを取得することができ、また就寝時のデータも取得することが可能となるため、自身の健康状態を把握するサービスとの連携が可能になっていきます。
また、介護などにも活用が可能です。
カメラによる監視よりも、より詳細なデータを取得することができ、データ値による異常を自動で知らせることも可能になるでしょう。
このように、既存の商品機能にセンサーを実装することで、新しいサービスを提供できるようになるのです。
IoT以前から、携帯電話にメール機能が付いたことにより通話以外でのコミュニケーションが実現できるようになったり、カメラ機能が付いたことで、いつでも撮影ができるようになるなど、電話が携帯できるようになったことで、新しい機能を付加する場が生まれ、提供できるサービスの幅が広がりました。
また、これらの機能がSNSの進化に繋がったことは容易に推測することができ、携帯電話の進化が新しいコミュニケーションサービスを生み出す要因にもなりました。
携帯電話とIoTの大きな違いは、携帯電話が元々電子機器・IT機器であった点に比べ、IoTではアナログのモノにも機能を追加することができる点です。
例えば、下着にセンサーが付いた場合を考えると、色々な使い道が考えられます。
まず、下着には常に肌身につけている、という商品の特徴があります。
この特徴を生かして、常に身体の情報を得ることが可能となります。
腕時計型のIoTよりも、より全身のデータを取得することができ、また就寝時のデータも取得することが可能となるため、自身の健康状態を把握するサービスとの連携が可能になっていきます。
また、介護などにも活用が可能です。
カメラによる監視よりも、より詳細なデータを取得することができ、データ値による異常を自動で知らせることも可能になるでしょう。
このように、既存の商品機能にセンサーを実装することで、新しいサービスを提供できるようになるのです。
観測データを元に作業を自動化
センサーを使った自動化においては、身近な所では、人の出入りを感知して照明をON・OFFするホームシステムなどが挙げられます。
ちょっとした生活を便利にする機能であり、つけっぱなしを防ぐという経済的なメリットを提供することができます。
自動化によるメリットは、人的なコストを削減することができ、また遠隔操作が可能になることで、その場でないと対応できない、という場所や移動時間の問題を解決してくれます。
また、昨今ではIoTを使用した自動化により、業界が抱える問題を解決する取り組みも行われています。
例えば、農業や養殖産業などです。
生産者の高齢化や労働力不足、勘に頼った手法など、業界が抱える問題をIoTによって解決するというものです。
広島県江田島市では、東京大学やシャープ、NTTドコモ、中国電力株式会社など8企業・団体と連携し、IoTとAIを活用したスマート牡蠣養殖の実証実験が行われました。
牡蠣の養殖において、漁場のブイや養殖用のイカダにセンサーを設置し、海水の温度や塩分濃度などを遠隔監視するとともに、ドローンに搭載したカメラで上空から幼生が多く生息する場所や潮流などを観測。
これらのデータをクラウド上に収集・蓄積し、AIが分析・予測を行い、採苗に適した場所や時期を養殖業者のスマートフォンに通知するというものです。
これによって離れた場所から牡蠣の生育環境をリアルタイムに把握し、早期に対応することが可能となり、採苗不調や育成不良を抑制し、牡蠣養殖生産の効率化や業務効率の改善、労働負担の軽減が期待できます。
また、牡蠣の養殖におけるノウハウを可視化することで、漁業の後継者育成も目的としています。
このように、IoTの技術が人材不足や後継者問題といった課題に対しての、1つの解決へのアプローチとなる可能性も秘めているのです。
ちょっとした生活を便利にする機能であり、つけっぱなしを防ぐという経済的なメリットを提供することができます。
自動化によるメリットは、人的なコストを削減することができ、また遠隔操作が可能になることで、その場でないと対応できない、という場所や移動時間の問題を解決してくれます。
また、昨今ではIoTを使用した自動化により、業界が抱える問題を解決する取り組みも行われています。
例えば、農業や養殖産業などです。
生産者の高齢化や労働力不足、勘に頼った手法など、業界が抱える問題をIoTによって解決するというものです。
広島県江田島市では、東京大学やシャープ、NTTドコモ、中国電力株式会社など8企業・団体と連携し、IoTとAIを活用したスマート牡蠣養殖の実証実験が行われました。
牡蠣の養殖において、漁場のブイや養殖用のイカダにセンサーを設置し、海水の温度や塩分濃度などを遠隔監視するとともに、ドローンに搭載したカメラで上空から幼生が多く生息する場所や潮流などを観測。
これらのデータをクラウド上に収集・蓄積し、AIが分析・予測を行い、採苗に適した場所や時期を養殖業者のスマートフォンに通知するというものです。
これによって離れた場所から牡蠣の生育環境をリアルタイムに把握し、早期に対応することが可能となり、採苗不調や育成不良を抑制し、牡蠣養殖生産の効率化や業務効率の改善、労働負担の軽減が期待できます。
また、牡蠣の養殖におけるノウハウを可視化することで、漁業の後継者育成も目的としています。
このように、IoTの技術が人材不足や後継者問題といった課題に対しての、1つの解決へのアプローチとなる可能性も秘めているのです。
取得したデータを元に業務の効率化・サービスの改善
IoTの活用として、最近事例が増えているのが、業務改善やサービス改善に用いられるケースです。
ある飲食店では、業界の深刻な問題となっている人材不足に対応するために、接客スタッフのオペレーションを変えることで作業を効率化する取り組みにIoTを活用しました。
今回の件では、スタッフが注文を取る際に使用するハンディ端末に測位センサーを組み込み、行動を計測・分析するというものでした。
その結果、得られたデータからは、厨房やバックヤードへの行き来が多く、接客に集中できていないことが判明しました。
この分析結果に基づいて、設備レイアウトや接客マニュアルの変更に着手。
さらに、接客スタッフを呼び出すコールボタンを、追加注文、会計、片付け、お冷といった用途に応じて内容が伝わるものへと変更しました。
改善後は、注文から料理提供までの時間、顧客に呼び出されて対応するまでの時間が大幅に短縮され、その分顧客との接客時間が増えたことにより、追加注文が増え、結果、客単価向上・売上向上につながったといいます。
IoTの技術により、これまでデータの取得が難しかった人の行動をデータ化することが容易になり、その結果、新しい事実が判明することに繋がった事例といえます。
ある飲食店では、業界の深刻な問題となっている人材不足に対応するために、接客スタッフのオペレーションを変えることで作業を効率化する取り組みにIoTを活用しました。
今回の件では、スタッフが注文を取る際に使用するハンディ端末に測位センサーを組み込み、行動を計測・分析するというものでした。
その結果、得られたデータからは、厨房やバックヤードへの行き来が多く、接客に集中できていないことが判明しました。
この分析結果に基づいて、設備レイアウトや接客マニュアルの変更に着手。
さらに、接客スタッフを呼び出すコールボタンを、追加注文、会計、片付け、お冷といった用途に応じて内容が伝わるものへと変更しました。
改善後は、注文から料理提供までの時間、顧客に呼び出されて対応するまでの時間が大幅に短縮され、その分顧客との接客時間が増えたことにより、追加注文が増え、結果、客単価向上・売上向上につながったといいます。
IoTの技術により、これまでデータの取得が難しかった人の行動をデータ化することが容易になり、その結果、新しい事実が判明することに繋がった事例といえます。
このように、IoTの可能性は無限に広がり、またあらゆる分野での活用が期待できます。
モノ作りにインターネットという機能が加わり、機能が新しいサービスを生み出す、そんな未来ももう間近に迫っています。
モノ作りにインターネットという機能が加わり、機能が新しいサービスを生み出す、そんな未来ももう間近に迫っています。
July 7 , 2020
T.Shinoda